悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

夜明けを待つ(佐々涼子)

2012年に「エンジェルフライト国際霊柩送還士」で受賞して一躍世に出た。そのときに、旧知の知人が血縁にあたるということで、紹介していただいて読んだのが、佐々涼子さんの作品との出合いだった。そしてそれきり、著作に触れる機会はなかった。
 
つい最近Xで、これまでの作品をまとめた本が出版され、脳腫瘍で闘病中という記事を見て驚いた。本書のあとがきでも触れられているが、余命いくばくもないことを穏やかに見つめるようすがうかがわれる。
彼女はエンジェルフライトの後にも、訪問看護の現実や、余命宣告された人々によりそったルポルタージュ、それから東日本大震災や、移民・難民の現実など、生と死のぎりぎりのところを描いてきた。そうやって、少しずつ自分の生き死ににも覚悟ができていったんだろうか。闘病の中で、思索や感覚が深まっていくようすも、今回のエッセイ集におさめられている。ちっとも難しい言葉を使わずに本質を突く、すがすがしい文章だ。
時折はっとさせられる心持ちが描かれていて、自分もそれらについてひとつひとつ思索をふかめて、文章にしてみたくなった。しばらく佐々さんの著作、追ってみます。