悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

2023-01-01から1年間の記事一覧

エンジェルフライト 国際霊柩送還士(佐々涼子)

>「弔い損なうと人は悔いを残す」悲しみ抜かなければ、悲嘆はその人を捉えていつまでも離さない。 著者 佐々涼子の文章だ。本書は、国際霊柩送還という耳慣れない分野での、日本の先駆的な会社を追ったノンフィクション。 上記の文章を読んで、個人的な話に…

エンド・オブ・ライフ(佐々涼子)

筆者は、看護師である友人から、自分自身が余命わずかながん患者となったこと、最後の共同執筆をしてほしいことを告げられた。 7年間の軌跡をまとめつつ、肉親も含めた様々な人たちの自宅介護を追う。 わたしはたぶん、比較的生き死にに接する機会が多い日々…

コテンラジオ 教育の歴史の回を聴いて考えたこと

ランニングや家事のお供として、ポッドキャストでコテンラジオに親しんでいます。『25 教育の歴史』シリーズ12回では、各国で公教育が誕生し現在の形を作っていく、その前段階までのまとめをしています。コテンラジオの3人組は、人物のストーリーを軸にした…

夜明けを待つ(佐々涼子)

2012年に「エンジェルフライト国際霊柩送還士」で受賞して一躍世に出た。そのときに、旧知の知人が血縁にあたるということで、紹介していただいて読んだのが、佐々涼子さんの作品との出合いだった。そしてそれきり、著作に触れる機会はなかった。 つい最近X…

傾聴について考えたこと

親についてモヤモヤと考えていることを、昨日少し上の世代の女性に聞いてもらえた。 表現を探して言いよどむ私を、彼女はきつくない視線をあてたまま穏やかに待ってくれた。 スマホに目を落としたりしない。分かるよ私もね、…と話を奪うこともない。ましてや…

こころの対話 25のルール

先日こちらにも書いた篠田真貴子さん(エール株式会社)が、休暇期間中に読んで心に響いたと紹介されていた本です。 究極的には、私たちのコミュニケーションの目的は「安心感」でしかない。安心感だけが、人を動かす。人がわたしに望むのは安心感だけだと肚…

824 月明かりのロンド(ジェーン・ベヤジバ著 蛭川薫訳)

著者の蛭川氏、この本を訳出することが長年の悲願だったときいています。 タイのありふれた路地に住んでいる、年齢も国籍も来歴も違う人々(と、一匹)の物語です。一読していちばん心に沁みたのは、それぞれの人物の物語の根底に流れる静かな愛と、それを描…

遠距離介護の幸せなカタチ(柴田理恵)

先日読んだ「親不孝介護」の著者が監修した本。介護の概要をつかむために続けて読書した。 その間に、実家で母と一緒に時間を過ごす機会があった。本を読んであんなことをしよう、こんな風に話しかけようと考えていたのに、なかなか想像したようにはできなか…

徳を積む

今朝目覚めた布団の中で、なぜか「徳を積む」という言葉が浮かびました。不思議だなあ、でも1日頭に置いとこう。そうSNS投稿したら、人知れず徳を積む→→「陰徳」という言葉とともに、友人がこんなメッセージをくれました。 “Random act of kindness ” 直訳す…

大阪的 (コーヒーと一冊)(津村記久子ほか)

江弘毅・津村記久子両氏による、大阪に関する対談です。自分は〇〇がつく真面目な静岡人なので(自称)、関西のノリツッコミに永遠の憧れがあります。そっと柱の陰から盗み見る家政婦のように、その世界をのぞいてみたいのです。 ・大阪は巨大な地方。憧れの…

54歳スピード婚(三宅民子)

衝撃的なタイトルと表紙がまず目を引く。そこに続く煽り文句もけっこうなインパクトで、戦略とはいえちょとタジタジする。 でも本書の真骨頂は、その成婚までに至る彼女のマインド変化や、身銭を切った努力の数々(赤裸々な失敗談も枚挙にいとまなし)。常人…

推しは目覚めないダンナ様です(そら)

以前第一巻を読んでいたので、新刊が気になりました。これアンリミテッドでもあるんだね!でも書籍でゆっくり読むのもお勧めです。 ダンナさんが低酸素脳症で寝たきり生活になって2年目、コロナあり感染症ありで思うようにリハビリもできない。推し活もでき…

世界基準のヒプノセラピー入門(今本忠彦)

ヒプノセラピー(催眠療法)の概要が知りたくて読みました。世界基準の、と冠しているということは、大仰で大衆受けを狙った、パフォーマンスとしての「催眠術」とは一線を画したい、ほんとうの魅力を伝えたいという熱意があると期待しました。 催眠療法の基…

エール株式会社篠田真貴子さんと語る「聴く力」

コテンラジオの番外編がとてもよかったので紹介します。 エール株式会社は、社外の第三者と1on1で話せるサービスを提供しています。利害関係がない第三者と話すことで、結果的にチーム組織内でコミュニケーションが深まり、パフォーマンスが上がる効果があ…

ルポ 誰が国語力を殺すのか(石井光太)

序章ののっけから、小学校国語の授業での衝撃的な一場面が描かれていて、ここまで日本語の共通認識ってなくなっているのか!とショックだった。 例として挙げられているのは「ごんぎつね」「一つの花」の解釈だ。 言葉の欠如によって、考える・想像する・表…

風神雷神 Juppiter,Aeolus(原田マハ)

原田マハ氏の描くアート×歴史×フィクションの世界には、知らない世界を活き活きとした筆致で垣間見せてくれるおもしろさがある。 もしも狩野派の熟練絵師と、当時まだこわっぱだったはずの俵屋宗達が出会っていたとしたら…? そしてその二人が、絵師として渡…

親不孝介護 距離を取るからうまくいく(川内潤ほか)

「津波がきてから防波堤を築く人はいない」という例えを聴いてから、病気や介護といった、差し迫らずあまり気の進まない問題についても知見を増やしていこうと、自らを鼓舞しています。 本書は遠距離介護がだんだん本格的になってきた当人の体験談と、介護の…

ぼんごのおにぎり おいしさのヒミツ

東京・大塚で話題のおにぎり専門店。外国人観光客にも、このところおにぎり人気が高いと聞く。 ふわりと握るための気遣いがこまかく、こまかく記されている。以前料理家の佐藤初女さんのご本を読んだ時にも感じたが、やはりおにぎりは日本の心だ。そして基本…

今日、誰のために生きる?----アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語(ひすいこたろう他)

ひすいさんの配信を聴いて興味を持った本。 表題は、アフリカのとある村で朝晩交わされるあいさつだという。 今日、だれのために生きる?今日は、自分のために生きられた? そんな風に自分に問いかけたこと、今までなかったです。 今日は自分のために何をで…

サントリー1万人の第九 ライブ配信を観た話

友人が数ヶ月間の練習期間を経て、大阪城ホールでの本番に臨みました。 コロナ渦を経、3年ぶりに開催されたとか。今日の夕方ライブで配信があったので、初めて観ることができました。 第1楽章から力のこもった演奏で、素晴らしかったのですが いよいよ第4楽…

スタンフォード式疲れない体(山田知生)

「疲れとは、体だけではなくて脳からも生じる現象」筋肉に乳酸がたまるから疲れる、なんてもう古い考え方だ。ケアすべきは脳、脳からの神経伝達。その考えにはおおいに賛同できた。 それから、おおざっぱに言えば「体を大きく使う、背を高く保つ」という考え…

祝福(玄侑宗久・坂本真典)

先に読んだ鈴木秀子氏の著書の中で、祈りについての記述で触れられていた本。坂本氏の美しい、春夏秋冬の蓮の写真と、玄侑氏の小説とのコラボです。 祈りはどこまで波及するのか。人はただ結果をゆだねて、祈り、生を全うするよう努めるのみ。蓮は毎年芽吹い…

言語化の魔力(樺沢紫苑)

これも再読だけど、また考えたことを書いてみます。 起きてほしいことがベストではなく、起きたことがベストといわれます。 辛い経験をしても、実は後から振り返ってみればそれがターニングポイントになっていて、物事が好転したんだ、ということはよくあり…

血流がすべて解決する(堀江昭佳)

6年前に読んだけど再読しました。 内容は、漢方薬剤師である著者が女性の健康について語ったものです。血液サラサラとはよく言われますが、前提として「血液の質と量」が大事。いくらサラサラ流れても、それがチョロチョロだったらやはり不健康なわけです。…

奇跡のメダイをいただいたこと

2度目にお会いしたクライアントさんから、お代と一緒に「これ、奇跡のメダイです」と小さなペンダントトップをいただきました。 パリのカトリック教会、「奇跡のメダイユ教会」として知られており、そこで頒布されているそうです。メダイ・メダイユとはメダ…

臨死体験 生命の響き(鈴木秀子)

鈴木秀子氏の著作を、続けて読んでみました。 鈴木氏はシスターであり、40代での臨死体験のあとでは、その経験をもとに宗教的な思索も深めて、たくさんの著書を残しています。 ***** この世の時間的な経過からすれば、私たちは確実に死に向かって歩んで…

恋愛結婚の終焉(牛窪恵)

これは良書じゃないかな。「異次元の少子化対策」はこういう裏付けや理論のもとに、進められるといいな。読んでるかな~~客観的な統計の数字や、リアルなz世代の声に、まず圧倒された。「現役」世代の恋愛離れと恋愛・結婚観は、昭和の私のナナメ上をいっ…

悟りから祈りへ(鈴木秀子、野口法蔵)

キリスト教徒である鈴木氏と、禅僧である野口氏との共著。 宗教は違えど「実践」を重ねてきたお二人の紡ぐ文章が身に沁みる。対談ではなくてそれぞれに書き下ろした文章で、説得力がある。 私は今回はとくに、鈴木氏の思想に二点惹かれた。 ①祈りとは 私たち…

職業としての小説家(村上春樹)

今では巨匠といわれる村上氏も、「風の歌を聴け」で気鋭の新人としてデビューした時代がありました。 神宮球場の外野席でビールを飲みながらのんびりしていて、ヤクルトの選手がきれいな二塁打を打った瞬間に、天啓のように「自分にも小説が書けるかもしれな…

奇跡の人(原田マハ)

原田マハ氏、続けて読んでいます。 ヘレン・ケラーとサリヴァン先生の奇跡の物語を、明治時代の日本、しかも青森に設定しなおした物語。もう一人の重要人物を設定することで、より奥深さを増しているように感じた。この設定だからこそ私たちの胸に響く、津軽…