悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

体幹の筋肉を使う

『プロフェッショナル 仕事の流儀』金メダルスペシャルを観た。男子平泳ぎと女子背泳ぎで、メダル連覇を達成したコーチ、平井伯昌氏の回だ。北京オリンピック前の指導と本番への密着取材が興味深かった。

その中で、なるほどと唸ったのが、100メートル平泳ぎでの戦略だ。準決勝で思うように記録が伸びなかった北島康介選手に対し、決勝では「勇気を持って、ゆっくり行け」と、最後のひと言をかける。力みからピッチが早まり、泳ぎが小さくなってしまうのを防ぐためだ。

大きく泳ぐと、体幹の大きな筋肉を使える。つまり動員する筋肉数、筋肉量が増えて、より大きな力を(無理なく)生み出せるということだろう。ピッチの早い小さな動きは、より小さい四肢の筋肉を酷使することになるのだろう。

直前の練習で、平井コーチはゆっくり(大きく)泳いだ場合と、小さいストロークですばやく泳いだ場合のタイムの違いを体感させる(当然、前者のほうが早い)。そして、上記の言葉をかけて、北島選手を送り出したのである。

その結果、前半50メートルのストローク数は準決勝で19。決勝では16だった。そして世界新記録

「彼ほど泳ぎのスタイルが完成されると、それだけ少ないストロークであれだけの記録が出るのかと、驚かされました」

以前野球のピッチングでも、いかに体幹の大きな力を指先に伝えるか、という新聞記事を読んだことがある。どのスポーツにも、そしてスポーツ選手にかぎらず日常生活においても、それはいえることなのだろう。

体幹の筋肉を柔軟にし、そこから四肢に力を伝える。

これと対照するのが、四肢を使うために体幹の筋肉を固定するやりかただろう。

その結果として、効率の悪い体の使い方が常習的となり、ゆがみや拘縮が生まれる。

平井コーチのように、その2者の違いを患者さんに「目に見えて」実感していただくには(しかも個々人のケースに合わせて)どうしたらいいか・・・という点が、整体師としての課題の一つだと、あらためて考えさせられた。(はは)