雨上がりの蜘蛛
通り雨がすぎて、庭に出てみたら
きんもくせいの香りが、いっそう強くなっていた。
さっきまでどしゃぶりだったのに、
庭木の間に、もう蜘蛛が巣を張り始めていた。
また強い雨が降ったら、すぐに壊れてしまうだろうに
張れるだけいっぱいの大きな巣を、作っていた。
おしりから糸をひきながら、まず放射状に張り
間隔の広い場所を埋めるように、間を詰めていき
しばらく中央で細かく動くので、間隔を確かめているのかと思ったら
今度は渦巻状に、仕上げにかかっていた。
そういう張り方は、ものの本で読んだことはあったけれど
ちゃんと目で見て確かめたのは、アラフィフにして初めての事だった。
そして、ああ子どもたちと一緒に見たかったなーなどと思い、
また、そういうことに目をキラキラさせてくれる時期は過ぎちゃったかなあと、苦笑した。
昨夜のNHK教育「奇跡のレッスン」で、バドミントンコーチが言っていた
子どもたちがスポーツに夢中になるとき、それは、親が子どもを失う時であり
独立心が育つときです。
「子供を失う」という言葉にドキッとしたけれど、
確かにそうなんだなと感じた。スポーツに限らず。
そこまでの間に、し残したことはないか?
なんて、雨上がりの蜘蛛に問いかけられたような。