悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

プリニウス(ヤマザキマリ とり・みき共著)

ヤマザキマリ氏の著作を読んで、このプリニウスこそ、氏がどうしても描きたいと熱望した作品だと知りました。古代ローマ博物学者、暴君ネロと同時代。
 
まだ5巻までですが読書メモ(もうすぐ12巻で完結らしい)。時代考証だけでも容易ではないだろう。ローマ時代だけに階級や性暴力、搾取の描写も生々しい。火山噴火によるポンペイの街の破壊も容赦なく描写されます。博物誌に記録されたという伝説の生き物も緻密です。
しかし、一番の魅力は、共著の2人が楽しんで作品世界を作ってあげていることがビシバシ伝わってくる点です。これは、実写でもアニメでも作りあげられない。漫画だからこそ、しかもこの2人だからこそのオンリーワンでしょう。プリニウスという人物に魅力を感じて、想像力で肉付けを楽しんでいます。周囲も含めて実に人間的です。
暴君と言われるネロにしても、ほかの著作の中でこうではなかったか、という持論を語っていたけれど、単なる勝手放題な皇帝ではない悲哀を描いています。
私は日本史、世界史ともにぜんぜんわかってなくてコンプレックスがあるけど、古代ローマ時代をそんな私でも楽しめる形で読めて、とても嬉しいです。引き続き読み進めます。