まきの実たべた
例によって夕方遅く、玄関をノックする音とともに「こんばんわー。いますー?」
隣のおばあちゃんの声だ。用件は回覧板、または野菜のおすそ分けがほとんど。いそいそとドアを開けると
「あーんた、こんなの嬉しいか分からんけど・・・」
まきの実だった。緑色のグリンピースのようなかたい実と、赤~オレンジ色の柔らかい実が、おだんごのようにつながっている。
「え、よく垣根にあるやつですよね。まきの実って食べられるんですか」「あたしらン子供のころは、よおく取って食べたけえが」口に含んでみると、ゼリーのような食感で、うす甘かった。おばあちゃんが山仕事をしながら、「あの子らに見せてやろ」と集めていただいたんだろうと思うとありがたい。お礼をいっていただいた。
残念ながら娘たちは、「あんまり甘くなーい」と2,3個でやめてしまった。ぜいたくな舌だこと。
翌朝、下の娘が庭でままごとを始めたので、ボウルに水を張って実をいれてあげた。以前子供らと遊んでいて気づいたのだが、まきの緑色のほうの実は、水の中に入れるときらきらと輝くのだ。サトイモの葉のように、撥水性が高くて、まわりに空気の泡がつくのだ。
娘はときどき赤いほうを食べながら、緑色の実でおいしいお弁当(食べろとうるさい)を作ってくれた。
夕方 上の娘は、庭にころがったまきの実を眺めながら、「やっぱ食べとけばよかった」といった。なんなんだ~。(はは)