悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

幸子の庭

またしても、本を推薦するのが上手な友人にしてやられた!と思った。どうして彼女は、私の好みがこんなにばっちり分かってるんだろう・・・。

主人公の小6の少女は、庭の広い家に住んでいる。そこにもうすぐ、90代の曾祖母が尋ねてくることになり、母親は慌てて庭師をさがす。

曾祖母の世代が生きてきた年月と、主人公がこれから重ねていくであろう年月とが交差する。そして実直に、自分の道を追及してきた若い庭師と出会う。庭師は庭師で、鍛冶屋の祖父の生き方と自分と交差させている。

庭師の親方にあたる人物の生き様も、さりげなく触れられる。

心引かれた部分を少し、引用してみる。

「・・・もう少し上達すると、今度は切る箇所にこだわるようになった。芽のついているどの辺りを切るとどうなるかを本で勉強した。鋏の入れ方で、枝の伸び具合や方向を自由に変えられることを知った。面白かった。

その頃になってやっと銀二の作った木ばさみの音を鑑賞できるようになった。

木の全体を見て、切る枝を見つけ、切る部分を判断して、差し込む鋏の角度を決め、

確信を持って切ったときにいい音がすると思った。」

児童書の分類に入るが、児童生徒でこの本に出合う感動と、アラフォーのワタシが抱く感動とは、またまったく違うものだろう。とはいえ平易な文章で描かれた、上質な児童書であることにはかわりない。こういう本をさりげなく、自宅の本棚に入れておきたいと思った。私も買おうーっと。

幸子の庭(本多明)