つながるいのち
仰向けにくつろいだ患者さんに、体調いかがですか、と声をかけたら、
「上等です」と返ってきた。
上等はよかったですね。食べ物なんでもおいしくいただけますかとたずねてみると「ええ何でも」と、これまた即答。たがいにクスクスと笑いあった。
それで思い出したこと。
二回目の妊娠・出産のときには、その患者さんと同じくらいの助産師さんにお世話になった。検診のときには、丁寧に触診して赤ちゃんの心音をきくと、いつも「はい、上等です」お腹をぽんとたたいてくれた。わたしはその「上等です」ぽん、に、ずいぶん助けられていたと思う。
今日は小春日和の、よい天気だった。公園の脇の細道をあるいていたら、イチョウの色づいた木の下で、女性が赤ちゃんをひなたぼっこさせていた。
赤ちゃんがあんまり小さいので、ついオバチャン丸出しで「かわいいですねえ」と声をかけた。まだやっと一ヶ月だという。ひとしきり話した後、「お孫さんですか」とたずねると、パッとうれしそうな表情になって「ええ」とこたえた。
たぶん初孫なんだろう。ちょっと触れたおくるみは、日差しにぬくまっていた。
そうやって、こうやって、
私たちは何気ない普段の生活の中で、いのちを交差させているのだろうな・・・ということを、ふと考えた。
施術所の近くの幼稚園からは、子どもたちの歓声がひびいていた。冬の青空にくっきりと教会の塔がそびえていた。(はは)