悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

思ってもみなかった自分

20代のころ、圧迫骨折を経験した。レントゲンに映し出された私の背骨は、竹のように積み重なったうちの一部が、見事に台形になっていた。

その「科学的な」証拠は強烈だし、整形外科医は「一生治りません」といった。だから私も、そうなんだなと納得した。

その後あちこちが痛くなりだしたけど、「骨がそうなっちゃったんだもん、治らないんだもん」と、どこかであきらめていたと思う。

何年かたって、ぐうぜん知り合った気功師にそう話したら、渋い顔をされた。

「西洋医学の医者はそういうだろうね。

でも人間の骨は、生体では梨の芯ぐらいの硬さしかないんだよ。なおるんだよ」

私は日本刀を使ったことがないので(^_^.)それがほんとうかどうか、いまだに知らない。でも、そんなこと(骨が回復する、あるいは痛みが解決するかもしれないなんて)思ってもみなかったので、ハッとした。そのときのことはよく覚えている。

整体師になって、自分の体はどうなったか?正直なところ、解決できた悩みもあれば、未解決のものもある。

でも「一生抱えていくものなんだ」という固定観念は、なくなった。

「持病」と決めてかかっていた腰痛はなくなり、整体師として日々体を酷使できるようになった。妊娠前後はあんなにつらかったのにね。要は自己管理次第なのだ。

そして患者さんにも、そうあってほしいと思う。

「これは長年の痛みだし、ずっと抱えていくものだ。少しでも軽くなればうれしいけど、根本的に解決はしないだろう」

そういう思い込みをなくして、一緒に整えていきましょう、という姿勢で通じ合えると、とてもうれしい。私は施術をせいいっぱいする。患者さんは日常生活で努力する。ともに頑張る。

先日のこと。施術をうけていた患者さんが、ふと 長年の痛み(鎮痛剤を常用していた)が消えていることに気づいた。

不思議がる患者さんに、私は「施術中にそうなったということは、体調が整えば、薬も使わずにずっと痛みがなく過ごせる可能性もあるということですよ」と話した。

患者さんはしばらく黙っていたが、「そんなこと、思ってもみなかった」とポツリといった。

そして帰り際、「今日は実感できてよかったです」と言ってくださった。

痛みがなくなるヨロコビを、ともに分かち合える整体師でありたい、と思います。(はは)