髪を切った
暑いです。伸びた髪がうっとうしくて、仕事中はずっとキッチリと上げてきました。でも髪をしばると、それだけで頭皮がかたくなって肩がこる。それでも美容院に行くのは気が重い。当たり障りのない世間話をしたり、「何の仕事してるんすカア」と訊かれたりするのがめんどうくさい。「ここちょっと禿げてますけど、どうしました?」なんて尋ねる人もいる。ええ頭に怪我をしたもので。なんて応えようものなら、何か事故でも?とくる。そんなのどうでもいいじゃないか。
ええいいっそ女を捨てて、さっぱりと剃り上げてしまいたい…と口に出したら、娘に泣いて止められました。「やめてーおかあさん」
久しぶりに実家に帰ったら、近所に早い・安いの美容院ができたというので、子供を任せていってみた。
受付にはヘアカタログが何冊かあった。みんなヘアカラーとパーマをかけたのばっかりで、どうせいっちゅーんじゃ、と思っていたけど、一冊だけ使える本があった。
「40代からのあなたに似合うヘア」これだよ、これ。
ぱらっとめくって30秒でオーダーする長さを決める。
あんまり期待してなかったけど、担当してくれた同世代の男性は、無口できっちりと仕事をする人だった。ずーっと会話しなかったけれど、私も人に触る職業柄、その人がデキル人だという好感がもてた。そういうのって、例えば前髪を整えるときとか、サイドの耳に掛かる髪の毛を梳かすときとかに現れるものだ。
不快感を与えないように気を配っている。それは私も非常に参考になった。
気持ちよく切っていただいて美容院を後にした。
翌日、いつものように幼稚園の送迎バスに娘を乗せた。
添乗員の先生は、「髪切ったね!若返ったねえ」と声を掛けてくださった。
ピースサインでこたえてドアを閉め、後続の車の列を確めていたら、バスの車内でどっと笑い声が起こった。見ると先生が顔がゆがむほど笑っている。
娘が窓を開けて一言「ねっおかーさん。これでも3●才なんだよね~!」
うるさいっちゅーの!(はは)