いびつな円
その人は私を責めた
「あなたの描く円は 円くない」と
その人の描く円は
曇りのない円
どこから見ても誰が見ても、文句のつけようもない円
しかし私の描く円は
ところどころかすれてちぎれそうな円
そんな円を描いていては幸せになれるはずがない 「ぜったいに」と
その人は断じた
円を描け、円を描けとその人はいう
私も完ぺきな円を描きたい
描きたかった
どうしても描けなかった
私が描くのは いびつな円
時間をかけて 震える指先で描く円
我ながら情けない円
それでも円
いびつだけど、まる
それでいいじゃないか
認めてあげたい 自分の描くせいいっぱいの円を
ゆがんではいるが、かろうじてまるくなっているその形を
そのままに
評価は、ずっと後からでいい
私の、円