七月豆(または 土用豆)
思いついたことがあって近所のHさんを訪ねた。思いついたことは実現しなかったけれど、Hさんは「まあ上がって」と招き入れてくれた。
コーヒーを入れて、
作りかけの刺繍の構想を語り、
まだあたたかい手作りこんにゃくを薄く切って、
いちじくの甘煮を、味見だと言って一つよそい、
ストーブの上で乾かしていたしいたけを包んでくれた。
こんろの鍋から、すばやく煮豆をひとさじ取って私の口を開けさせた。
「これ何のおまめですか?と聞くと、「幻のお豆」とミステリアスに笑う。
何でも、自分は「七月豆」と聞いて、大事に種を継いできたという。でも土用のころに蒔く土用豆だという人もいる。「ええかんな大きさまでは」さやごと食べることもできる。
タネはまた取っておいてあげるから、とりあえず食べてごらん、とこれだけいただいた。10分ぐらい煮た後で、砂糖醤油にお酒・・・あとなんだっけな。素朴でやさしい味に煮あがった。こういう出合いは、大事にしたい。