悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

四半世紀ぶりに、母校へ

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袴姿で着飾った若者たちで、ごった返していた。思いがけなく、母校は卒業式の当日だった。 駅前のそばやで友人と落ちあう。年賀状のやり取りは続けていたが、顔を合わせるのはこちらも25年ぶり。ひょうひょうとした雰囲気が変わらない。お互いに、そうとう薄まっている記憶をひっくり返しながら(脳トレみたいだった)、次々と懐かしい名前を挙げて笑いあった。立て看板の居並ぶ道を抜けて、校内に突入した。「え、入ってもいいんだよねきっと?」と、おばさんパワー炸裂で学生会館にも入る。 入り浸った部室棟も、へとへとになりながらトレーニングした講堂前広場もなくなっていたが、 なかでも懐かしかったのは、クライミング生活の原点となった、小さな小さな石垣だった。ここから始まったんだな、と。それから、汚くも貧しい(涙)学生たちが通った小さな食堂。ほとんどが閉店している中で、現役のものもちらほら。 愛校精神はあまり感じないで生きてきた。自分の卒業式にも、出席しなかったくらいだ。 そんな私が、卒業式の日にちょうど行き合うというのも、奇妙なものだ。 友人とは、一緒の電車に乗って新宿で別れた。話のついでみたいに「それじゃあ」と、振り向かずに歩いて行った。人生の大事なひと時を、同じ釜の飯で過ごした仲間というのは、不思議だなと思う。多分これからも、ろくにラインもしないままだろう。そしてちゃんと、「おー久しぶり」と会う日を迎えるのだろう。