悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

夜叉が池(泉鏡花)

静岡の県立劇団spacにより、 2012年と2021年に上演されている。昨年BS放送で上映されたものを、先日観る機会に恵まれた。残念ながら劇場での鑑賞を逃したので。
 
初出は大正2年。夜叉ケ池は岐阜県に実在します。そこでの龍神伝説をもとにした戯曲。
鐘をつく掟を破ると龍神が暴れ、村は水底に沈むという言い伝えがあります。それを忠実に守る夫婦と、迷信と笑いつつ別の迷信に惑わされる村人たち。そして池の異形の者たち。
鐘をはさんで人間界と異界が巧みに交錯する、二重構造になっています。
 
映像とはいえ、鑑賞後2日間ずっと、心は池のふちにたたずんでいます(^^)
泉鏡花作品、じつに日本語が美しい。錆びかけた自分の大和魂を揺すぶられます。
 
「いばらの道は負ぶって通る。冥土で待てよ。…何時だ。」
「(昂然として鐘を凝視し)山沢、僕はこの鐘を搗くまいと思う。どうだ。」