「たゆたえども沈まず」に続いて、
ゴッホと
ゴーギャンの関係性を、底辺に流れ持つさ作品。
二人の蜜月的な数か月と、そのあとで起こった、
ゴッホの
自傷事件。自殺とされる最期のミステリー。大胆な仮説を描いており、著者が自由に想像の翼を広げて「小説家の特権」を楽しんでいるのが心地よい。
原田氏・・・フィクションという形で真実を描く名手だな、と思う。
ゴッホゴーギャンも、それぞれに芸術を突き詰めたいと願い、圧倒的に影響力を及ぼしながら、どうしようもなく周囲を巻き込んでいく。自我や顕示欲に突き動かされて、とどめようもなくなっていく、そこは真実なんだろう。
「彼方の楽園」に達したいと願う気持ちは、私にもある、誰しもあるだろう。画家たちの時代と二重構造になっている、現代のオークション会社で働く女性たちにもある。誰しもが、自分だけのひまわりを描きたいと願っている。