悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

幼稚園の給食

娘が通う幼稚園には、給食室があり、「給食のおばさん」(とお呼びしたら失礼ですが)が常駐しています。毎日毎日、お昼時になると、温かい給食の香りが建物を満たします。こどもたちは包丁を使うおばさんの手さばきを、じっと見つめます。お給食係の子どもたちが、大事に誇らしげに、お鍋や食器を運んでくれます。

当たり前のようですが、これは当たり前ではない。ご承知の方も多いでしょうが、幼稚園は給食室を設置しなくてもよいのです。保育園は必須ですが、幼稚園は業者の仕出し弁当をとることが許可されています。

上の子がまだ小さい頃、よその幼稚園を見学したことがあります。園児の小さな机の上に、整然と四角い仕出し弁当が並んでいる様子は・・・寒々と見えたことを覚えています。

給食室は 保護者が 日中出入りする裏門のわきにあり、栄養士さんが二人、せっせと働いておられます。

「こんにちはー。お世話になります」

「アレ、○○ちゃん早引け?どうしたのー」

「いえ今日は役員会でー」「そう、おつかれさまー」

なんて会話をすることもあります。不審者なんて入って来ようもない。

アレルギーのある子どもをお持ちのお母さんは、特に親しくさせていただいているようです。

子供たちにとっても、給食のおばさんはありがたい存在です。楽しいクッキングの時には強い味方です。農家のお宅で持たせてもらったお野菜を、給食室で調理して食べたりもしているようです。時には嫌いなものをどうしてもたべられなくて、給食室で残って食べることもあるようです。

オトナにとっても、子どもにとっても、先生という立場から一歩はなれた「給食のおばさん」の存在は、大きいように感じます。幼稚園に限りませんが、そういう多様な、余裕のある環境の中で育つって、大事なんじゃないかな。

まだ娘が小さい頃

幼稚園での小さい子向け行事に参加して、こんなことがありました。

うんと暑い日でした。おなかもすいてしまったようで、娘はぐだぐだにだだをこねて、大泣きで、どうしようもない状態になってしまいました。私も、首のすわらない下の娘を抱っこしたまま 途方にくれてしまいました。

そのとき、どこからか給食のおばさんがすーっと出てきて、

「あーれ元気な泣き声が聞こえてきたやあ~」と言いながら、下の娘をすっと抱っこしてくれました。「かわいいかわいい」

そのときの安心感を思い出すと、今でも泣けてきます。あ~ここに入れよう、って思ったっけな。

自分が苦しいときに差し伸べられた温かい手のことは、ずっと忘れません。(はは)