悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

たんす

18歳で家を出たときの荷物は、たしかダンボール箱3つぐらいだった。そんなふうに身軽に引っ越すことにあこがれていた。2度目の引越しは、バイト先の酒屋さんが軽トラを出してくれて、たしかそれ一杯で楽々だったと思う。

それなのにそれなのに。子どもが生まれて以来、意に反して荷物は増える一方である。先日、あふれる衣料をなんとかしようと、たんすを新調した。

新しいたんすは引き出しが軽くて、子どもにもあけやすい。少しでも気持ちよく服を選んだり、たたんだりできるようになれば、よかったなと思う。

そして、幾多の引越しを乗り越えてきた、小さいたんす 2さおを処分することになった。

清掃工場のゲートをくぐると、慣れた物腰でおじさんが道案内をしてくれた。ガソリンスタンドのように車を止めると、横に清掃車があった。あの、ばりばりとゴミを粉砕しながら飲み込んでいくやつだ。これでいきなり、壊しちゃうのか、とちょっと気持ちが引く。

なにしろ、20代前半から毎日使ってきたたんすだ。ここ2,3年はすっかりシールだらけになってしまい、それもまた、屋外で見るといやに新鮮だ。リラックマが妙に人なつっこく見える。

車からたんすを下ろして、ちょっと心の中で頭を下げた。「これでもう、いいんですか?帰って」とたずねると、オッケーとのこと。帰りに一目振り返っていこう、と思ったのに、出口は別だった。

昨日まで娘たちが、開け閉めしていたたんす。いままでありがとうね。次のも、大事にするね。(はは)