悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

これだけは作ります

おせち料理の準備は、ちちの実家で一緒にさせていただくのが恒例になっている。毎年義母の腕にたよりきって、えびの裏ごしなどの力仕事だけ本領発揮している。

でも、何年か前から これだけは作る、と決めているものがある。料理家の城戸崎愛さんが紹介されていた、「五目なます」だ。これと黒豆だけは、つくる。

実家のなますは、大根とにんじんをつかったシンプルなもので、ただしとびきり甘い。私はこれが大好きで、大学生のころは帰省のたびに 母が作ってくれたものだ。

でも、城戸崎先生のものは、たっぷりのすりゴマを使う。しかも、二日間に分けて、材料それぞれを丁寧に準備する。4日目から味がなれて食べごろで、2週間はもつ、とあった。

一日目:ゴマをていねいにする。

     しいたけとれんこんを別々に煮る。

     大根とにんじんを下準備し、塩して5時間。お酢して一晩。

二日目:油揚げと厚揚げの皮を細かくきざむ。

     それぞれの中身とゴマ、調味料を合わせてゴマ豆腐たれをつくる。

     すべての材料を合わせてなじませる。

しいたけなんか、だしで10分・砂糖を2回に分けて入れてそれぞれ10分・しょうゆを入れて煮しめる。それだけの手間をかけちゃうんですよ。オドロキですよ。

そのレシピをはじめて読んだとき、どんな味なんだろう?と、普段にない興味をそそられた。そしてワクワクしながら取り組んでみた。そして、味の奥深さにおおっと唸った。ふだんはお手軽料理ばかりの私だが、「手をかけて得られる美味しさ」にビックリした。

さっきのしいたけなんて、安いのでも、じわーっとうまみが広がるもんね。

そこで一念発起して、普段の料理もがんばるか、というとそうでもない自分が悲しいけどね(涙)。結局この料理も、一年一度だし。

出来上がったばかりのなます、まだ味が慣れていないのを承知で、昨晩のおかずにした。今年は娘たちが、思いのほか喜んでよく食べた。「この味覚えておいてね。お正月に食べるときは変わっているから」と伝えた。

興味のある方は、ぜひNHK出版「きょうの料理が伝えてきた昭和のおかず」を参照されてください。(はは)