僕が僕であるために を 聴きながら
仕事場に向かう途中でコンビニに寄った。店内に入ると、レジ係の店員と男性客の話す声が聞こえた。
経緯はもちろんわからないけれど、どうやら客が機嫌を損ねているらしい。「そういう....謝るのが普通でしょ」と語気を荒げている様子だったが、ぼそぼそと応じる店員の声は聞き取れなかった。
店内には数人の客がいたが、皆聞こえないふりをしているようだった。
しばらくして男は出て行った。レジをそっと伺うと、店員は中年の男性だった。たぶん店長だろう。
そういうことってあるよね、と私は思った。もちろん本人が悪いのかもしれないし、単なるイチャモンだったのかもしれない。それは分からない。でも、客商売ってそういうこともある。気持ちを切り替えて目の前の仕事をこなしていくのだよね、と。
店内には「僕が僕であるために」が流れていた。中村あゆみさんが最近カバーしたやつだ。
オザキユタカをリアルタイムで聞いているころには、私と同年代の店長さんは、コンビニのレジに立ってカバーバージョンを聴くなんて想像もしなかったろう。私だって想像しなかった。20年経って彼はコンビニの店長(たぶん)になった。私は整体師になった。家庭だって持ってる。そしてコンビニの店内で同じ曲を聞いている。
時間の流れって不思議なものだと思う。
レジでいつもよりちょっと丁寧めにお礼を言って、私は仕事に向かった。(はは)