みっとろろ VS ぼっこ、うっちゃったか?
「この間、おかしなことがあっただよ」と、ばあちゃんがさっそく切り出した。
「みっとろろと、ホトトギスが、一緒に鳴いただよ」
ほおーそうか、ととりあえずあいづちを打った。
さて、これには解釈が必要だろう。
まずみっとろろとは何か?このあたりの方言で、「アカショウビン」という鳥のことを指す。
山あいを象徴するような、美しい緋色の鳥である。明け方の澄んだ空気に、ピロロロロ…という声がよく響く。
そして、雨の前に鳴く、とも言われる。
それに対してホトトギス。これは初夏の日差しがよく似合う鳥だ。
ばあちゃんは、雨を呼ぶ鳥と晴れを呼ぶ鳥が、同時に鳴いたと言っているのである。
「それでどうなったの?」
「ホトトギスが勝っただなあ、雨が降らなかったもの」と、ばあちゃんは笑った。
ちなみにホトトギスの鳴き声は、この辺りでは「特許許可局」ではなく、
「ぼっこ、うっちゃったか」と 聞きなす。
ぼっことは、ボロの服、ぐらいのニュアンスだ。ボロは捨てたか、なーんて鳴く鳥があるかい!と突っ込みたくなるが、それはまあ置いといて。
耳が遠くなることもなく
ばあちゃんは、鳥の声に季節を感じて、ユーモアを語る。私はそんな80代になりたい。