こんにゃくを作ってみた
ある人に、ばあちゃんとのこんにゃくの思い出を話したら、
こんにゃく芋と、雑木の灰から作った灰汁を、譲ってくれた。自分で作ってみろ、ということだと思った。
やっと頑張ってみる気持ちになって、芋をゆで始めた。
「燃し火」(かまど)ではなく、ガスで。
一度に茹でられる鍋はないから、手持ちの鍋二つで。
大きな練り鉢もないので、羽釜を代わりにして。
自分流に作るしかない。
「こんにゃく芋は、煮たほどよいぞ」「こんにゃくは湯で増やせ、といってな」と、ばあちゃんの声が聞こえた。
このくらいかな?ばあちゃんは柔らかいのが好きだと言っていたな。
「もうちょっと入れてもいいか。もう一杯いれてみょう」と、声が聞こえた。
一番緊張するのは、灰汁の入れ加減だ。少なすぎても多すぎても失敗する。
3度も4度にも分けて入れた。「もう少しかな?あとおちょこいっぱいほど、入れてみょう」と、また声がする。
そうだ、両手にたねを持ってみて、くっつけてもくっつかなければいいんだった。このくらいかな?
このくらいかな、と聞ける人がいないけど、やってみょう、と声がする。
そっと湯の中に落とすと、たねは散らずに浮いてきた。
一時間茹でて、やっと冷めたころ、娘がさしみこんにゃくださしみこんにゃくだと騒ぎだした。
結局、夜の9時半すぎて、家族たちはぺろっと2玉分も食べてくれた。
喜んでもらえてよかったです。ばあちゃん、できたよ。明日は、世話になっている人たちに分けに行こう。