鷹揚に生きたい
朝のコンビニ外で見かけた男性の事。推定40代。
ガシャーンという音に振り向くと、一人が自転車を倒していた。派手に倒れたようで、前かごに入っていた荷物が飛び出している。持ち主がゆっくり近寄ってくる。
倒したほうが「すみません」と慌てた様子で言うと、持ち主は「いいですよ」とにっこり笑った。
いや、それだけのことなんだけど、その男性の笑顔がホントさわやかで。
その後男性は、ビデオ通話だろうか、ニコニコしながらスマホに向かって話していた。ちょっと惚れ惚れするほど表情がよくて、私はしばらく見ていた。喫煙コーナーで(そこは点数が低いんだけどね)しばらく佇んだ後、彼はまた自転車のところまで戻ってきた。
そしたらふっと表情を変えて…というよりも、表情をスッとなくして、自転車にまたがって出かけていった。もう一度会ったとしても、多分あの表情だったら気づかないだろう。
誰でもない誰かさんが、ふとした瞬間に見せたあの鷹揚さに、私は感心してしまった。