悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

終わった人(内館牧子)

 
「すぐ死ぬんだから」「今度生まれたら」に続いて読了しました。今度は表紙どうり、退職直後の60代男性、元リーマンが主人公です。
正直に言って序盤は、ホームドラマを見ているようで退屈気味でした。しかし徐々にリアリティが増して行きます。ここで終わってたまるかという欲望も、まだ生々しくあります。主人公だけでなくいろんな立場、いろんな年齢層の男女が、それぞれに葛藤し、他者とくらべたりうそぶいたりしながら、よりよく生きたいとあがいています。
 
人生100年を思い描いておかないと、手痛い目に遭う。
人生100年を周到に準備したつもりでも、思いがけない目にも遭う。
 
あとがきにこんな言葉が引用されています。
「重要なのは品格のある衰退だと私は思います」(国際政治学者 坂本義和
今朝ストレッチをしながらこの言葉を思い返しました。歳だから、心身が衰えるのも病気になるのも仕方ないと甘えたくはない。でも、若作りやビマジョや過度なアンチエイジングとは違う。品格を持って衰える、よい言葉に出合えました。