悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

暗幕のゲルニカ(原田マハ)

「楽園のキャンバス」に続いて、美術作品をベースにした、原田マハさんの小説に耽溺しました。今回はピカソピカソが生き、ナチスが台頭してきた1930年代と、アメリカの同時多発テロから暴力の連鎖が起ころうとしていた2000年代とがシンクロしていきます。
 
ゲルニカの無差別空爆や、これを基にピカソが大作「ゲルニカ」を制作したのは史実。
そして、2003年に同時多発テロを受けて、アメリカがイラク空爆をしたのも史実です。その前夜、国連本部で当時のアメリ国務長官コリン・パウエルが記者会見を行った際、そこにあるはずの『ゲルニカ』のタペストリーが暗幕で隠されていたそうです。それらの史実に肉付けして描かれるフィクション、じつに重厚で鮮やかです。
ゲルニカは誰が描いたのか、ゲルニカは誰のものか。アートにはどれほどの力があるのか。
 
時代背景と立場に応じて、信じる道を全うしていく、人々の熱意を感じました。
先日こんな言葉に出合いました。忍耐とは、やりたいことをやり遂げるために、継続し続けることを厭わない力だと。