悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

ゆずの木

5年以上前のこと。たずねた友人の家の玄関先に、桃の木が植えられていた。枝ぶりも見事だし、時節には濃ピンク色の花が咲き乱れる。道行く人が思わず立ち止まるという。

「主人の誕生記念に植えたらしいよ」そうか、40年以上、息子の成長とともに季節を彩り続けるとは・・・すばらしい。ぜひうちも、子どもが生まれたらまねしよう。

そう思っていたが、一人目の娘の時にはしそこねた(気が回らなかった/それどころじゃなかった?)。ずっとアパート生活だったしね。

そして二人目の生まれた年。今度こそ何か植えよう、記念樹だ記念樹だ。相変わらず借家住まいだけど、鉢植えで育てればいい。高くても立派な、風格のある苗木を選ぼう。そう思っていたのに・・・

実際に買ったのは ゆずだった。うーん、ちょっと違う?

でも、ちちと上の娘が楽しそうに植えてくれた。うちの借家の前のスペースは、どこまで使っていいのかアバウトなスペースが広がっている。そこに、適当に元肥をして、ひょろりとした苗木を地に下ろした。

以来2年。なんとなく元気がないけれど、枯れることなく現在に至る。熱心に水や肥料をあげるわけじゃなし、夏はくもの巣が張られ、とうもろこしやジュズダマ日照権を奪われてもいるが。

「お前の木は、花桃だよ~」というのと、「お前の木は、ゆずだよ~」というのでは、大分気分が違うように思う。「そんなんおかーさんがほしかっただけに決まってるじゃん」と、年頃になった娘に突っ込まれそうな気もする。でも私の頭にあるのは、むかし山の中で見かけた、自生のゆずの木の荒々しい美しさ。それから、庭に実のなる木があった、実家の風景。

今年もあんたのゆずが成ったねえ、なんていいながら、冬至のお風呂に入りたいじゃないですか。

追記:

ももくり3年かき8年」の後に、「ゆずの大馬鹿18年」と続くなんて、後から知りました。ええっ、18年もかかるの・・・?(はは)