悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

お花を分ける

今朝6時半。朝の支度をしていたら、台所の窓から声がかかった。きんじょのおばあちゃんだ。

ナニゴトカと慌てて出ると、恐縮しながら 庭のお花を分けて欲しい、という。

お寺さんへ持ってくお花を、買い忘れてしまって。申し訳ないねえ、こんな早い時間に。と、懐からコドモのお菓子を取りだした。

ウチの庭なんて、手入れが悪くてろくな花が咲いていない。どうぞご自由に!と声をかけたが、遠慮するんじゃないかと気になって、一緒にとってあげた。黄色いデイジーとコスモス、ランタナぐらいしかないけど、おばあちゃんは「申し訳ないねえ。今日は朝からデイサービスのバスが来ちゃうもんで(買いにいけないし)、嬉しいよう」と何度も繰り返した。これからもどうぞご自由に!と、一生懸命声をかけてしまった。

おばあちゃんところのおじいちゃんは、今年初盆だった。仲のよいご夫婦で、お達者な頃には、いつも我が家の前をゆっくり、ゆっくり歩いて畑へ行くのが日課だった。体の弱ったおじいちゃんをかばって、おばあちゃんがシルバーカーと鍬などを運ぶもんだから、何度か階段を上がるのを手伝ったこともあった。

それが間遠になり、おじいちゃんがぼうっと通りを見つめていることが多くなり、入院を繰り返すようになった。

ある意味、そうやって「添い遂げる」姿は、父を早くなくした私には理想形だった。そしておじいちゃんがなくなってから、ずっとおばあちゃんのことが気にかかっていた。おばあちゃんはやっぱり、ぼうっと外を眺めていることが多くて、「伴侶をなくすって、どんな思いだろう」と心が痛かった。人は大往生というだろうけど、いくつになったってそれは、つらいことだろう。

だから今朝、思いがけずおばあちゃんと話せて、お役に立てて、嬉しかった。

お花のあるうちは 周りにたくさんあるけど、ウチに声をかけていただけて、嬉しかった。

人とのつながりって、ありがたいものですね。(はは)