悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

石臼でひく

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今年、小麦を8キロほど収穫できた。とはいっても、撒いて冬の麦踏みをしたくらいで、あとは刈り取り、天日干し、脱穀と人の手を借りっぱなしだった。

さて、この小麦をどうするか?

実は昨年も、製粉してくれる場所が見つけられなくて、そのままになっていた。

製粉機を持っている、何人かに心当たりはあるものの、さほどの量でもないし、手間をかけるのも申し訳ないし…と、そのままになっていた。

うん、やってみようと思いついて、近所の方に石臼を借りに行った。

以前、私がダイズをひいてみたいといったら、協力してくれたことがあったから。

「そーんななんもの、手でひくだなんて。大変だからやめておけ」と一蹴されるかとも思ったが、「よいよ、今持っていくか」と貸してくれた。芯棒の調整も教えてくれた。

野菜作りにしろ手仕事にしろ、「自分の手で、やってみなくちゃーわからない」とは、この方によく諭されることだ。だからかえって、やってみろと言われたような気がした。

むしろが良いといわれるが、家にはないのでバスタオルをひき、ビニールシートをセットした。途中、娘たちが入れ替わり、たちかわり、手伝ってくれた。やってみると、急がず、感触を大切に挽いていく感覚がわかってきた。ぐっと下腹に力がこもる。

おわん一杯の穀物をひくのに、どれほど時間がかかることか。

別のおばあちゃんに、こんな話もきいた。

義父が入院中、食べ物を受け付けなくなった。ずっとついて看病していたが、ふと思いついて家に一泊もどり、一晩かけてこうぼうを3合ひいた。それを持って病院に戻ると、義父は「おれは、それを食べたかっただよ」と、笑顔を見せてくれたという。

砂糖入りの、きびをかいたものは、義父の好物だったから。

最後に食べさせてあげられて、よかったと言っていた。

1時間半ほどかけて、小さいペットボトルに2本の小麦粉ができた。まだふるって、ふすまと分けないといけないけどね。