蜂の子どもを…食べる?
畑を囲うトタン板に、アシナガバチが巣をかけていました。
「ばあちゃんここに巣があるから、気をつけて」
「ほう、困ったなあ。ええと、スプレースプレー」
ゆっくりと、小屋にもどっていくばあちゃん。
私は小豆の続きを、撒き始めました。
しばらくしてふと見ると
ばあちゃんが棒と、新聞紙をもって帰ってきました。かがんで何かしていると思ったら、めらめらめら・・・
火、火を近づけている!?ばあちゃんは素手で、帽子もかぶっていないけど平気なのか?
蜂は、わっと舞ったかと思うと、落ちた数匹を除いて消えてしまいました。
棒で巣を落とし、それでおしまい。
「巣さえ落とせば、蜂はいなくなってしまうから大丈夫だ。とは、おかあちゃんが昔よく言ったもんだ」
この「とは、おかあちゃんが言ったもんだ」というのは、ばあちゃんの定型で、含蓄があることが多い。蜂の巣ってそんなもんなのか?へー、へー。※良い子は真似しないでね!
それで話が終わりかとおもったら、ばあちゃんは「あれ、巣はどこだ・・・あったあった」と、大事そうに拾い上げている。
「子が入っているずらよ。はちめしにしず(蜂の子ごはんにしよう)
って・・・・工エエェ(゚〇゚ ;)ェエエ工!?
写真のとおりの小さな巣ですが、ちゃんと子(幼虫)が入っていました。今まで、地蜂といわれる蜂の巣から、幼虫を抜いたことはありますが、そうか、アシナガバチも食べられるのか。
小さすぎますが、塩炒りにして貯めておくそうです。
手ぬぐいに大事に包んで、持ち帰りました。
まずはピンセットでひとつずつつまみだします(ぷちっとしないようにね)。
つまみだしたらほぼ成虫・・というときもあり、なかなかのスリルです(^_^;)これも経験、とがんばる私。
ばあちゃんは小さいフライパンを出してきました。蜂の子はまだ動いています。
「なんかかわいそうな気がするねえ」
「あさりなんかも同じだからな」
やや弱めの火で、しんけんな表情で炒り始めました。だんだんとぷっくりふくれはじめて、水分が抜ける音がしはじめました。
「うわ、ちゅーんって鳴いてる」と私がいうと、ばあちゃんはニヤッと笑って
「泣いているのは、山の親ずらよ。子がいないよー、ってな」
ばあちゃんは優しいんだか、なんだか、よくわかりません・・・ヽ( ´_つ`)ノ
さて、この日は結局、ほかのこともあって試食しそびれてしまいましたが
蜂の子の塩炒りは、おいしいです。機会があれば、ぜひ毛嫌いせずに試してみてください。
たぶんこの蜂の子は、ばあちゃんの冷蔵庫に大事にしまわれて、次に息子さんがいらしたときに
常備の蜂の子とともに、おいしく炊かれることでしょう。
「男衆は好きだな、蜂飯は」ばあちゃんは何度、よなべして蜂を抜いたかな。何度はちめしを炊いてきたのかな。
蜂の子は、山の大事なタンパク元なのであります。