悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

映画「ひろしま」を観て

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NHKの特集番組で、映画「ひろしま」を知った。終戦からわずか8年後、まだ広島の原爆の惨状が(政治的な理由で)日本中に知られていないころに制作された。実際に被爆した人々の参加も多く、撮影中にトラウマから体調を崩す者も多かったらしい。この史実を後世に残さねばという気迫が全編にあふれている。

製作が進むにつれて、何かできることはないかとエキストラの希望者も膨らんだという。ラストシーンの参加者は、実に八万人を超えるとか。

 一週目に映画に関する特集番組。二週目に映画全編を放送した。見たくはない、気持ちが暗くなるのは分かっている、でもこれは、観なくてはいけないだろう…時間がかかったけれど、録画しておいたものを先日、思い切って観た。

私が最も心を惹かれたのは、「これほどの打撃を体験しながらも、また戦争が起こるのではないか」と恐れる若者たちの姿だ。例えばパチンコ玉を見つめて、これが鉄砲の玉になるのではと恐れる。働いていた町工場で、おそらくは朝鮮戦争特需で兵器を作るようになったことで、戦争孤児が仕事を離れる姿を描く。敏感に軍靴の足音を感じる被爆者たちに比べて、私たちはあまりに鈍感なのではないか?

特集番組の中で、アメリカの映画関係者が語っていた。

トランプ大統領は、『なぜ核爆弾をつかってはいけないのか?』と発言した。この映画が、その答えだと思う」

今、この映画が世界各国で上映されつつあり、核爆弾の教材とされ始めていることが、世界にとって福音でありますように。