天空の棚田
この間の日曜日、雲南省の棚田集落を取り上げたNHKスペシャルを見た。
広大な棚田を、祖先から受け継いだものとして、年々同じ手法で守り続けていくことを、誇りとする民族。
「同じように繰り返すことが何より大事なんだ」と、まっすぐに信じていた。
中でも感心したのは、その起伏の多い土地を、上から原生林、居住地、棚田というかたちで配置したこと。原生林は水源を守っている。居住地には水路が完備されていて、生活用水は、昔の日本の井戸端のようになっている。台所から出たものはそこに流され、飼っている豚の糞尿とともに棚田を養う。
家から3キロ以上の道をくだり、稲を収穫し、また40キロ以上のもみを背負って登り返す。その映像を見て、娘たちは(もちろん私も)絶句していた。
でも、この土地でだって、50年ほど前には見られた風景なのだろう。
車も入れない開拓地を往復する話を、土地のおばあちゃんからお聞きしたことがある。
雨の日にこそ、肥料をせおって茶バラまで往復するのは、嫁の仕事だったこと。
「にんぼう」という杖をつきながら歩き、それをショイコの下支えにして、立ったまま休んだこと。
16貫目の荷物を背負って歩いたこと。
そう思うと、来年世界遺産に登録されるという その雲南の棚田の文化が、いかにもろいものか、と思う。きっと今後、観光客はさらに増えて、近代化がどんどん進むのだろう。
陽気に鎌をふるい、うたいながら脱穀するハニ族の人々を見ながら、涙出ちゃったよ。
娘は「生まれ変わったら、ここに住みたい…」と、ポツリ。
げげっまじですか、と 翌日聞いてみたら(当日はオソロシくて聞けなかった)、
「だって誰もメガネの人がいないんだもーん」と、能天気でした。悪かったねメガネ一家で。