脳はバカ、腸はかしこい(藤田絋一)
藤田氏は腸内細菌が専門で、自らおなかの中にサナダムシを飼って理論を実践していたことでも有名。今でこそ、腸脳相関はかなり一般的な考え方になったけれども、 2011年刊行のころには異端だったろうな。
腸は第2の脳なんて言われるけど、冗談じゃない。脳がバグって「考えなしに」ありとあらゆるものを口に突っ込んでも、その食べ物の安全かどうかは、腸の神経細胞が判断してるんだ。
私が今回気になったのは、土壌菌についての記述だ。氏は毎日土壌菌をカプセルで服用していたらしい。よく、土に近い生活をしたり、家畜を飼っていたりの環境では子供が丈夫に育つという。多種多様な菌に触れることが、豊かな腸内環境を生む。体調に応じて炭を食べたり、土をなめたりする 山の叡智も耳にしたことがある。
鶏が土をつつき、ミミズを食べ、その玉子を私が食べ、その肉を喰らう。
子どもと野に転がり、川に飛び込む。泥を丸め、木から採った桑の実を口に入れ、ヨモギの風呂に入る。
今、山里からマチのマンション暮らしになって、じつに土と切り離された生活が「快適」なことに戸惑っている。虫もいないし土も香らない。そしてこういう環境で育った人間が、当たり前に人口を占めていく。アレルギーその他の病が増えていく。