ネコ整体・ネコ瞑想
ストレッチしようとヨガマットの上に立つと、猫が足の間で寝転ぶ。絨毯で横になると、お腹の上に乗る。ソファーに座れば、膝の上に上がり込んでもぞもぞと位置を定める。
ちょっと待てよ、とブラシを持ってこようとすると、視線を送りながらちゃんと待っている。
ネコ瞑想
ネコ瞑想
右手にブラシを持ち、左手で撫でながらマインドフルネスに浸る。オキシトシンに満たされる。
うちの猫は野良出身で、シャーシャーと威嚇してばかりだった。慣れてきて触れるまでに数ヶ月かかった。でもその後も脱走を繰り返し、外の暮らしを好んできた。
だから飼い主の事情でマチのマンションに移った時には、ずいぶん心配した。脱出対策をあらゆる窓に施しだけれど、それで彼女の気が済むものだろうか。
案の定数ヶ月経った頃に体調を崩し、後ろ足は立たなくなるわ、膀胱炎にかかるわ、吐き戻すわの症状が出始めた。病院でいろんな検査をしたけれどわからず、何か持って生まれた障害があるか、それとも腫瘍かといわれた。
それでも一番近くにいて世話をするのは、自分しかいない。
そうだ、私には生き物に触れる手があった。きっと人間も猫も同じだ、
「あきらめない」
ネコ整体
ネコ整体
私は昼となく夜となく猫を撫で続け、人と同じように考えて彼女の体と相対した。
彼女が立ち上がって歩き始めた時、私は泣いた。
猫ってもともとよく吐くけど、いまだにうちのは、げーげーすることが、たぶんほかの猫より多い。悪いほうに考えるとキリはないが、今日も私は猫に触れ続ける。
手の力を信じている。
彼女がおとなしく首筋をさしだし、無防備な姿で撫でられている時、
私の脳は共振して、彼女の気持ちよさを伝えてくれる。
彼女を癒すことで、私もまた癒されている。