悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

この本は世界の人口問題や環境、所得や地域間格差といった「かたい」テーマを扱っているし、図表がたくさん出てくる。それなのに、私みたいに統計に苦手意識がある人も排除しない。
 
一番最初のパートで、テーマ全般に関する13問の選択問題がある。実際に回答してみて、自分がいかに事実を見ようとしてこなかったか、偏見や選民意識に満ちていたかに愕然とした。これはかなりのインパクトがあった!
でも、どんなにもの知らずだったからといって恥ずかしがることはない、実に13問中12問の平均正解率が、(世界の交換や専門家たちも含めて)ランダムにチンパンジーが回答した場合よりも低いのだそうだ。
 
私たちはただ漠然と、未来に不穏なイメージ、先行き不安、もっといえば絶望感を持っている。世界は暴力に満ちてるし、テロは怖いし、人口はどんどん増えて水も食料も足りないし、女性蔑視はなかなか改善しないし。
でも筆者は力強くイントロダクションで宣言する。世界をもっと正しく見る方法があり、この本を読み終えればそれが分かるし、読後には「心が軽くなり、前向きになり、世界に希望が持てる」だろうと。そういわれて私は身を乗り出した。
 
・世界を「発展途上国」と「先進国」に分類せず、所得レベル1~4で考えると、見方がかわる
・「悪い」と「良くなっている」は両立する点を念頭において情報に接する
この二つが、本書から私が受け取った「新しいものさし」だ。
世界の未来はどうしようもなく救われない・・・ものじゃなかった。むしろ、良くなっているんだ、確実に。
そんな内容の本を読んでるんだと娘たちに話したら「ふうん、ホントかねえ」と信用されなかった。幼いころから環境問題に暗澹としている彼女たちは、世界はよくなってるなんていわれても、いっそう疑い深い世代かもしれない。ぜひ進めたい本です。