悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

知らなかった、僕らの戦争

画像
アマゾン 内容紹介より↓↓ アメリカ出身の詩人アーサー・ビナード氏(1967年生まれ)が、日本人の太平洋戦争体験者たちを訪ね歩き、戦争の実態と、個人が争いから゛生き延びる知恵゛を探ります。 登場する語り手は、真珠湾攻撃に参加したゼロ戦の元パイロット、「毒ガス島」で働いた元女子学徒、戦後GHQで働いた元事務員など、実にさまざま。日本人以上に日本社会に詳しいビナード氏が、自身の受けたアメリカの教育とも照らし合わせながら戦争に対する考察を深めます。日本民間放送連盟賞・2016年番組部門[ラジオ報道番組]最優秀賞を受賞した、文化放送アーサー・ビナード『探しています』」を採録して再構成した書籍です。 戦争体験談や、原爆被害を扱った報道番組などは、なるべく遠ざかっていたい。楽しい話ではないし、悲惨な逸話などはいつまでも記憶に残って、ウツウツとしてしまう。 でも、戦争体験者がどんどんなくなっていく中で、どうしても二次的、三次的な伝えられ方になってしまう。この本には23人の語り手が登場するが、そのあとに何年何月何日逝去、と添えられている人が、何と多いことか。 そういった点で著者に感謝したいし、今までの自分を反省させられる。 ビナード氏が絶妙に言葉を補い、話し手に寄り添うことで、内容がより深まっているだろう回も随所にある。戦争犯罪人として服役した人物には「年は息子ほど離れておるけど、戦友だな。共感のあまり号泣したい思いだよ」といわしてめている。 それから、戦争体験というと悲惨で…被害が大きくて・・・というイメージが強いが、例えば占領地で(無意識にも)加害してきた事実や、前のめりに戦争に「のっかって」行った時代の空気なども、語られている。 書評は賛否両論。ビナード氏の意見がかたよっている、という意見もあるし、今の段階でよくまとめてくれた、という称賛もある。 「予備知識なしに読むのはいかがなものか」という意見を読んで、思ったのだけれど、しょせん私たちはこれから先も、誰かの手による文章、誰かの目を通した情報に接していくしかない。自分の目で見て手でふれられる情報なんてたかが知れている。ほとんどすべての情報が一時情報じゃない。 だからこそ、触れる情報を限定しないよう、注意ぶかくならなくちゃいけない。そして自分なりの物の見方を、作り上げていかなきゃならない。 そんなことをしみじみと、衆議院選挙の日に考えました——安全保障や憲法9条論議原発の問題もしかり。