悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

54歳スピード婚(三宅民子)

衝撃的なタイトルと表紙がまず目を引く。そこに続く煽り文句もけっこうなインパクトで、戦略とはいえちょとタジタジする。
でも本書の真骨頂は、その成婚までに至る彼女のマインド変化や、身銭を切った努力の数々(赤裸々な失敗談も枚挙にいとまなし)。常人ならめげてしまうような体験も、その先のジャンプボードにしてしまう裏には、これと思ったプロには沿ってみる従順さがある。また、率直に自分の生い立ちを顧みる冷静さもある。
 
一読して一番心に残ったのは、「相性が良いということは、つまり無理をしなくても素直に喜んでもらえるということ」という点だった。がんばって相手をあげておだてて、機嫌をとっていくようなことをしなくても、お互いに無理をせずとも、高めあえるっていいな。それは婚活に限らず、人間関係全部につながりそうだ。
 
それから、他のことなら「誰が無理といっても、自分はこんな幸せを追い求めるんだ、それでいいんだ」と思える。なのに、結婚だのパートナー探しだのとなると、とたんに「むりむり!」が先立ってしまうのはなぜだろう?という指摘にはハッとした。確かにそうだ。筆者の述懐に沿って、自分も過去を振り返ってみたら、自分も思ってもみなかったほど、親・・・おもに母親からの影響を受けているんだなと気づけた。
 
筆者が「マー君」と心を通わせる瞬間のエピソードには、大笑いとともにほろっときた。そんなふうに無理せずに、相手を幸せにしてそのことによって自分も幸せになれる関係性ってすてきだな、と清々しいです。身銭を切った話は、心に響きます。