こうぼうがきを食べたのだ
今年初めて挑戦した、こうぼうきびの栽培。
そのきっかけは、これまでも何度か記事にしていますが、ばあちゃんから聞いたこんな話です。
お舅さんが体調を崩して入院し、なにも口が受け付けなくなった。
どうすればよいか。こうぼうきびを「かいた」のは、好物だから食べられるかもしれのう、と嫁は思った。
そこで、一日付き添いを人に頼んで、夜中までかかって石臼でこうぼうきびをひいた。ほそく(細かく)ていねいにひいて、やっと5合になった。
舅は「おれは、それが食べたかっただよ」と言ってくれ、湯を沸かさせた。
「最後に好きなものを食べさせてあげられて、よかった」と、ばあちゃんは繰り返した。
何年か越しの願いが実って、先日ついに、こうぼうがきを食べる機会を得ました。もちろん、ばあちゃん直々の指導のもとです。
わっぱ、または小なべにこうぼうのひいたものを入れ、熱湯を注いですばやく「掻き」ます。ぼったり、もっちりとした感じに水分を調整し、言われたように砂糖をつけて、いざ試食です。
さて、結論から率直にいいましょう。温かいうちはグッド!おいしくいただけます。
しかし、こうばしいのと、草っぽい香りが、微妙なバランスです。そこを、肯定ととるか否定ととるかは、好みの分かれるところでしょう。正直、私はちょっと冷めてきてからは、頑張って食べました。
そして思いました。なんだかんだ言って、高度成長期育ちで、インスタントものなどで育っているわたし。
明治時代とくらべて、舌べろがおごっているのはまちがいない。口にして育ってきたものは、数十年で大きく変遷しているのだから。
では、こうぼうきびなんてやだく(嫌に)なったか?答えはノー、ネバーです。どう考えても、山里に合った作物であるこうぼうきび。これからも栽培して、種と利用法をつなげていきたい。
同じ中山間地の井川では、雑穀栽培での地域おこしが一歩先をいっています。こんど、こうぼうきびを使った料理の講座に参加する予定。
こうぼうきびをはじめ、雑穀の魅力を、これからも探り続けていきたいです。