悠々闊歩

はるかな道を悠々と、闊歩していきます

しごとの余禄

介護民俗学へようこそ!

90代のTさんと、高齢者向け雑誌の特集記事の話をしているときに、こう言われた。 「だけんど俺は、若返りとか、そういう言葉は好きじゃないだよ。 若返りたいとは思わない。 だんだんに年をとって、今は今なりに、90は90なりにあればいい。 あんたはあん…

夢の中では

ある日、Mさんが、夕べは眠れなかった・・・と体調が悪そうにしていた。妹が亡くなってから、眠りが浅いのだと。 あまり家のことを話さない方だけど、この時はぽつぽつと話してくださった。 自分は覚えていないが、亡くなったその日、「〇〇(妹さんの名前)…

funny face!

90代のTさんは、いつも朝いちばん、「グッドモーニング、サー!」とあいさつしてくださる。 帰るときはもちろん、「シーユー、ネクストターイム!」である。 「あんたはいつも、そうやって一人一人に声をかけて にこにこして・・・ええなあ。感心する」と…

大根の種を食す

80代のHさんは、何度も持病を再発させているけれど、いつもひょうひょうとしている。「俺は天国なんか暇そうだから行きたくない。地獄に行きたい」「Hさんなんか地獄の入り口で、閻魔さまに帰れって出禁にされるよ」なんて軽口をたたくのが常だ。 Hさんとは…

患者さんに教わること

高齢者と接することが多い仕事なので、 次第に体がいうことをきかなくなってきて 子どもの世話になっている、という話もよく耳にする。 「娘に叱られてばっかりいるよ」なんて 嬉しそうに言われると、 今なんだかんだ口うるさく叱ったとしても、 そのうち立…

見守られている

ご高齢の方で、すでに他界されているご主人が一緒に暮らしていると、思い込んでいる方は多い。 ご飯を一緒に食べた。コルセットを付けてくれた。いつもいばってばかりで困るの。などなど・・・ 生き生きと語られる。 ご本人にとっては、それは幸せなことなの…

捨て箱

80代後半(には見えないけど) 一人暮らしの方のお話。 久しぶりに娘が訪ねてきた。 仕事、姑の事、子どもの事、娘には話したいことがたくさんあって 「一時間ぐらい、わーーっと自分の話して、帰っていきました」と笑った。 そのときね、私思ったの。ああ、…

患者さんに勇気をもらった話

80代、一人暮らし女性 病気の宣告をされて10年経った。10年経ったねえと、主治医としみじみ話したよ。 MRIとか撮るときね、私いつも「負けるもんか、負けるもんか」って思ってるの。 病気を言われた最初から、私は思ってたね、負けるもんかって。 にこにこし…

人生の先達から教わる毎日です

★仏さんの世話をするように、体を鍛える 80代後半のAさん。今の目標は、『100歳まで自分の足で歩くこと』です 若い頃に痛めた膝が泣き所で 最近まで 手術を受けようか、悩んでおられましたが スクワットを勧める書籍を買い、地道に続けています 最初は、加減…

お寺さんでの勉強会

いわゆる核家族で育った私は、自分ながら恥ずかしいくらい仏教とか、供養とかの常識に欠けていると思う。お年寄りからモノを教わる機会に飢えるのも、そのせいかもしれない。お仏壇のある家でそだったか、そうでないかは大きな違いなんじゃないだろうか。 ご…

手をみがくために

好きな手、好きになれない手がある。 整体、マッサージ、エステ系、体にかかわる仕事はいろいろあるけれど、 うまがあう、波長が合うのと同じように、体と手の相性ってあると思う。 施術して、自分の手を磨くのも大事だけれど、 施術を受けるのも勉強になる…

私の手に

年配の方を施術させていただくとき、「〇〇さんも私らん年になったら分かるよ」と言われることがある。 60過ぎるとガクッと・・・などと脅されることも(汗) 確かに、その年代になってこそ初めてわかることは多いだろう。それが歳を重ねることの勲章、人間…

患者さんから教わる

整体という仕事を選んでよかったなあと思えることの一つは、いろいろな世代のいろいろなお立場の方と、しかも結構な親しさで接することができるということです。 先日は、90歳のお誕生日を迎えるというご婦人の、そのお誕生日祝いとして参上しました。 「お…